クロモリ(スチール)ロードとは

クロモリロードばかり週に3〜4台組ませていたくこともあります。それだけクロモリロードを沢山のお客様にお買い上げいただいていることになるのですが。カーボン全盛期の現代で何故にこれほど「スチールロード」に注目されるか?それはまず「シルエット」だと思うのです。店頭販売の場合約2ヶ月後に初回点検の為にバイクをお持ちいただいているのですが持ち込まれたときに毎回毎回クロモリロードだけは「エッ?この渋いバイクはどこの?!」って私自身がフレームから組ませていただいているのに妙に見入ってしまうのです。カーボンモノコックや極太アルミフレームを扱い続けているとクロモリロードの細いパイプ(特にシートステイの細さ)に心をくすぐられるのです。人間が乗ったらフレームはさぞかしシナルのだろうなって。またそれが乗ると直ぐ体感できますからね。パイプをTIG溶接ではなくラグで継いでたりしたらタマラナクしびれてしまいます。そのラグやエンドにメッキ等されてたらもう本当にタマラナク良いのです。これは何でしょうね?手作り感なのでしょうか?そういうフレームのしなり感とか手作り感に「人の手がかかった温かい人間の乗り物」的な感じがするのです。自転車屋である我々がいつもそう感じてしますのですから不思議な乗り物です。

「クロモリロードは良く進むのか?」それはハッキリ言ってカーボンやアルミフレームの方が良く&速く走れます。何故ならクロモリロードはフレームがしなるのです。ペダリングの力はフレームのヨレとシナリにスポイルされてどこかに行ってしまい、リニアな感覚ではなくモッタリするのです。でもこのモッタリ感がタマラナク良いのです。スピードを要求されないシチュエーション、例えば長い距離のポタリング等にはもってこいで特に脚が少し疲れたときにリニアではない感覚がずっとペダリングを続けられるようにしてくれるのです。リニアな感覚のアルミフレームでは硬く感じてしまうのです。

「クロモリロードのブレーキは良く効くのか?」フレームのヨレはブレーキングにも影響します。カーボンやアルミフレームは強力なストッピングパワーを発生する最新のブレーキアーチや強力なグリップを発生する最新のロードタイヤを受け止める剛性がフレームに備わっています。クロモリロードにはそれがありません。強力なブレーキング力の前ではフレームやフロントフォークがよれる感覚になります。それにブレーキングにも重要な役目を果たすヘッドチューブが今では当然のようにつくオーバーサイズではなく1インチサイズになっているものも多いのです。ですからオモイッきり走ってオモイッきり止まるのは苦手なのです。激しいブレーキングが必要とするスピード域まではもっていかないようにしないといけません。まあクロモリロードは車重がありますからそこまでのスピードに乗らないのですが。ライダーの想定以上のスピードには至らないでいつもラーダーのコントロール範囲内にバイクスピードを置きやすいので安心して乗れるのです。

どうです、ノンビリ長い距離を走られるにはピッタリな乗り物でしょう。カーボンやアルミフレームのロードバイクの前はこの「スチール=クロモリロード」がロードバイクの主役だったのです。そこには本来ロードバイクから感じるべきアナログ的な楽しさが詰まってるのです。それはノンビリ走れるクロモリロードでしか感じれないものです。最近同じクロモリフレームでもツーリングバイクよりロードバイクを望まれるお客様が増えてきたように思えます。荷物を積んで何日も休暇が取ることができないので日帰りで距離を稼ぎやすく軽量なクロモリロードが指示されているのですかね。